『丁場紀行』ブラジル丁場紀行 後編 No.14-2
❹マロングァイバ : 丁場は現在も採掘中
1970年後期に初入荷した中目の茶御影です。
丁場は、リオグランデ・ド・スール州 ポルトアグライ近郊(ポルトアグレイから西に約230km)に位置します。
別名は、ガウチョロッシュです。
当時は茶色系の代名詞という感じで流通しました。
特徴は10mm径~100mm径の黒玉と赤筋、赤点が部分的に混入です。赤筋は原石検品時に苦労し、黒ボタは石取に苦労した事を思い出します。
*施工事例 : 本町プラザ、 上田信用金庫新本社、 インテック東京本社、 大蔵別館、 ハービスオオサカ etc ❺オウロガウチョ : 丁場は閉鎖しました
1980年後期に初入荷した粗目のベージュ系御影です。
丁場は、リオグランデ・ド・スール州 ポルトアグライ近郊(ポルトアグレイから北西に約300km)に位置します。
オウロ(OURO)とはポルトガル語で『金』の意味です。
プラタガウチョと同一丁場で、表層部が酸化等により薄黄色に変色したものをオウロガウチョとして流通していました。
5,000m3クラスの巨大な玉石から採掘され、採掘量が多く、欠点が少なく、石質が安定していたので、多くのビルの外壁に採用されました。
*施工事例 : 山陰合同銀行本店、 広島プリンスホテル、 横浜ランドマークタワー、 北梅田ダイビル、 横浜ビジネスパーク、 川崎重工業本社ビル、 大手町野村ビル etc ❻プラタガウチョ : 丁場は閉鎖しました
1990年初期に初入荷した粗目のライトベージュ系御影です。
丁場は、リオグランデ・ド・スール州 ポルトアグライ近郊(ポルトアグレイから北西に約300km)に位置します。
プラタ(PRATA)とはポルトガル語で『銀』の意味です。
オウロガウチョと同一丁場で、採掘が芯に進み、色合いが黄色味が弱くなり、青白くなったのをプラタガウチョとして流通していました。このタイプも採掘量が多く、欠点が少なく、石質が安定していたので、多くのビルの外壁に採用されました。
*施工事例 : 東京国際フォーラム、 神保町三井ビルディング、 山王パークタワー、 太陽生命新本社 etc ❼リラブラジル : 丁場は閉鎖しました
1990年初期に初入荷した中目の赤紫系流れ柄御影です。
丁場は、ミナスジェライス州 PEPRESA DE FURNUS近郊(ベロホリゾンテから南西に約250km)に位置します。
別名は、リラジェライスです。
当社が扱い始めた御影石の流れ柄の第一号です。
古くからブラジル産の流れ柄は産出され、世界には認知され流通していましたが、日本での認知は遅く、この石種を皮切りに流れ柄が徐々に採用され現在に至っています。
*施工事例 : 大手町JAビル、 OSビル、 新飯野ビル、 京都信用金庫本店、 日本テレコム東京東センター etc ❽ヴェルデラブラス : 丁場は生産調整で一時休止中
1990年初期に初入荷した中目の緑御影です。
丁場は、ミナスジェライス州 LAVRAS近郊(ベロホリゾンテから南に約200km)に位置します。
当社が扱い始めた緑御影では、ラブラドールオリエンタル(ウルグアイ)、ヴェルデフォンティン(南アフリカ)、ローレンティッドブルーグリーン(カナダ)、ウバドバグリーン(ブラジル)に次いで5番目です。
ダークグリーン地に白、黒が混ざり、若干の流れ具合が重厚ですが流れ方向は平行流れや斜め流れがあり、その流れに沿っての黒帯が入る場合が多く難しい石種でした。
しかし重厚感が気に入られ、多くのビルの外装だけでなく内装にも採用されました。
*施工事例 : 三宮ビル、 京都駅ビル、 妙道会教団本部、 ゲートシティ大崎 ❾ジァーロヴェネチアーノフィオリート : 丁場は現在も採掘中です
2000年初期に初入荷した粗目の黄系御影です。
丁場は、エスプリトサント州 BARRA DE S.FRANCISCO近郊に位置します。
当社が扱い始めた黄系大柄御影では1番目です。その後は後で紹介するジァーロヴェネチアーノ、ジァーロサンタセシリアが続きます。海外では大型工事の外装に採用されていましたが、日本での外装への採用は、海外より遅く、この銘柄とジァーロヴェネチアーノから始まりました。
フィオリート名は、特徴である角ばった柄をイタリア語で『花が咲いたような』と表現されました。
*施工事例 : 中央合同庁舎7号館、 丸の内オアゾ 二重橋ビル etc ❿ヴェルデサンフランシスコ : 丁場は閉鎖しました
2000年初期に初入荷した中目の緑系流れ柄御影です。
丁場は、ミナスジェライス州 BENEDITO近郊(ベロホリゾンテから南西に約120km)に位置します。
当社が扱い始めた『流れ柄御影』では、リラブラジル(ブラジル)、インディアンジュパラナ(インド)、レッドマルチカラー(インド)、グリーンマルチカラー(インド)、ニュージュパラナ(ブラジル)に次いで6番目です。
本磨きでは流れやウネリが鮮明に分かるのですが、JPでは鮮明でないため、本磨きでの採用が多かった銘柄です。
*施工事例 : 京都駅ビル、 三宮ビル etc ⓫ジァーロヴェネチアーノ : 丁場は生産調整で一時休止中
2000年初期に初入荷した粗目の黄系御影です。
丁場は、エスプリトサント州 BARRA DE S.FRANCISCO近郊に位置します。
当社ではジァーロヴェネチアーノフィオリートと同時期に扱い始め、世界的にも多くのビルの外装に採用されました。
色調は若干ピンクがかった黄色の印象です。
*施工事例 : 丸の内ブリックスクエア、 県民共済プラザビル、 新宿オークコート、 愛宕グリーンヒルズ、 神田女学園、 住友中之島ビル etc ⓬ジァーロサンタセシリア : 丁場は現在も採掘中です
2000年初期に初入荷した粗目の黄系御影です。
丁場は、エスプリトサント州 BARRA DE S.FRANCISCO近郊に位置します。
柾目は若干、波打つような縞流れがある黄御影石です。この風合いでは一番最初に扱い始め、その後にブラジルからは色々な黄系が入荷しました。平目は別の名称(当社ではジァーロエスペランサ)で称され、柾目でも平目でも使用可能な黄系御影として世界的にも多くのビルの外装や外構に採用されたため需要が拡大し、需要と伴い丁場が大きくなり、現在に至っています。
*施工事例 : 丸の内永楽ビルディング、 大阪駅新北ビル、 NHK大阪放送会館、 JR新宿ミライナタワー、 住友不動産須田町ビル、 ニューギンザ5ビル、 芝浦ルネサイトタワー田町 etc この辺で『ブラジル丁場紀行 後編』を終了します。
次回は、12月11~19日でインド丁場巡りに行って来たので、ホヤホヤの『インド丁場紀行 第3弾 2024年12月出張 過酷移動編』をご案内致します。
ありがとうございました。