『丁場紀行』ブラジル丁場紀行 2024年5月出張編 No.13-1
今回で『丁場紀行』13回目の発信となります。初回発信(2020年8月)から早くも4年になりました。
4年も続けていられるのは皆様の励ましと次回への期待の声です。前回は『アンゴラ丁場紀行』を案内しましたがいかがでしたか?
ある方からは『子供の地理社会の勉強になるので、子供と一緒に読んでいます。奥深く踏み込んだ話が多いので子供も楽しみにしています。』とか、中国仕入先からは、『石の勉強だけでなく、日本語の勉強にもなります。』とかの感想を頂き驚いています。
さて、今回は某工事に採用された『ジァーロサンタセシリアライト』の丁場へ5月にお客さん(お施主、設計、ゼネコン)を案内する機会があったので、建築石材では馴染みの深い『ブラジル丁場紀行 2024年5月出張編』を案内します。訪問丁場少ないため、石以外の景色、食べ物、建築物視察写真が多くなりますが、飽きることなく楽しく読んで頂けると思います。
また今回 丁場視察した以外の石種の案内は、次回の丁場紀行No.14『ブラジル丁場紀行 後編』で案内致します。
■お待たせしました。さっそく本題に入ります。
まず、ブラジルを理解して頂くための基礎知識です。地理社会の復習をしましょう。【詳しくはネットをご覧ください。】
・正式国名 : ブラジル連邦共和国 (Federative Republic of Brazil)
・面積 : 851.2万km2 〔世界5位、日本の22.5倍〕
・人口 : 約2億1,531万人 〔2022年、世界5位〕
・首都 : ブラジリア(約309万人、ブラジル3位)〔最大の都市はサンパウロ(約1240万人)〕
・民族 : 混血(約45%)、欧州系(約44%)、アフリカ系(約10%)、先住民(約0.6%)、東洋系(約0.4%)〔2020年〕
・言語 : ポルトガル語(ブラジルポルトガル語)
◆南米(南アメリカ)の言語について
下の地図を見て頂いたら分かるように、南米(南アメリカ)で公用語がポルトガル語なのは、唯一ブラジルだけで、ほとんどの国(アルゼンチン、ベネゼエラ、ウルグアイ、パラグアイ、ペルー、エクアドル、コロンビア、チリ、ボリビア)の公用語は、スペイン語です。
これは、コロンブスの新世界(新大陸)到達による新領土「発見」を受け、1494年にスペインとポルトガルが大西洋の管轄権を定める目的で結んだ『トルデシリャス(TORDESSILLAS)条約』によるもので、ヴェルデ岬諸島の西 約1,850kmの子午線で線引きが行われ、スペインは境界線より西、ポルトガルは東の領域を獲得しました。この条約により両国は当時の世界を二分し、新世界やアジアとの貿易を独占して繫栄しました。
この1496年6月にスペインのトルデシリャスでスペインとポルトガルで結ばれた海外領土の分割条約である『トルデシリャス条約』により1493年にローマ教皇アレクサンデル6世の定めた植民地分界線は、西方に移動し、1500年に東廻りでインドを目指して、ポルトガルが派遣したカブラルが大西洋上で西に流されて偶然 南アメリカ大陸の東岸に到達しました。これによって、ブラジルがポルトガル領になったというのがポルトガルとスペインの公式見解であり、ブラジルの公用語がポルトガル語になっている理由です。
・宗教 : カトリック(約65%)、プロテスタント(約12%)、無宗教(8%)、他 〔2010年〕
・通貨 : レアル (BRL)
・為替レート : 1ドル=約5.1レアル、 1レアル=約31円(2024年5月時点レート)
・時差 : 日本との時差は12時間(日本の方が12時間早い)
・略史 : ・主要産業 : 製造業、鉱業(鉄鉱石他)、農牧業(砂糖、オレンジ、コーヒー、大豆他)
・食文化 : アフリカからの奴隷の食事がルーツといわれるフェジョアーダ(黒インゲン豆とソーセージや豚肉/牛肉などを煮込んだ料理)や牧童の肉料理であったシュラスコ(串焼肉)、バイーア地方のムケカ(海鮮シチュー)、カルルー(エビの煮込み料理)他、またロシア系のストロガノフもブラジル風にアレンジされて食されている。
・ブラジルの位置 : ここでの説明は不要とは思いますが、南米大陸最大の面積を占め、ウルグアイ、アルゼンチン、ペルー、パラグアイ、ボリビア、コロンビア、ベネゼエラ、ガイアナ、スリナム、フランス領ギアナと国境を接しており、南米諸国で接していないのはチリとエクアドルだけです。東は大西洋に囲まれている。
また、大西洋上のフェルナンド・デ・ノローニャ諸島、トリンダージ島、マルティン・ヴァス島、サンペドロ・サンパウロ諸島もブラジル領に属しています。
*後でスケジュール表と一緒に地図を記載します。
・治安 : ブラジルの治安は頻繁にテレビで報道されているように非常に悪いです。市民の間で違法な銃器所持が横行しており一般犯罪でもほとんどの場合で銃が使用され、殺人へ発展する事も多くあります。
重犯罪は大都市、地方都市を問わず頻発しています。人口10万人辺りの犯罪発生率は日本の数十倍から数百倍あり2012年の統計では殺人は日本の34倍、強盗は約315倍となっています。2012年から2015年の4年間の間に、ブラジルでは28万人近くが殺害されたと言われています。
とりわけファヴェーラと呼ばれる都市に形成されたスラムは、凶悪犯罪の温床となっており、これらの地域では、麻薬密売組織同士の抗争や治安当局の介入により銃撃戦が昼夜問わず発生し、多くの市民が巻き込まれて死亡しています。
私自身は運良く、身の危険を感じた事(まあ、取り囲まれた事はありますが・・・)はありませんが、2018年6月にブラジル視察した時には、田舎町での宿泊時の夜中に銃声で目覚めた事はあります。
■冒頭に書きましたが、某工事に採用された『ジァーロサンタセシリアライト』をメインに『ベージュバタフライ』の丁場を確認するために、中国協力工場の手配で、お施主2名、ゼネコン設計者1名、ゼネコン所長、当社2名(営業担当 田中、調達担当 加藤)を私と現地協力業者(M‣SI社 Kさん)で案内しました。
今回出張の目的は、丁場と1回目出荷原石を確認して頂き、承認の上で進めさせていただく事です。よって、私と加藤が前乗りし事前検査する、その後に営業担当がお客さんと同行しヴィトリア空港まで案内、私と加藤がヴィトリア空港で出迎えるスケジュールを組みましたが、お施主がロンドンに出張されることになり、最終的には営業担当とお施主とはサンパウロ空港で合流し、同じ便でヴィトリア空港まで来られ、私と加藤がヴィトリア空港で出迎える事になりました。そのスケジュール表と地図が次ページです。
*帰国は、フランクフルトでの乗継時間が1時間20分しかないので、フランクフルトで宿泊する事になりました。
◆経路検討 : 4パターンを考えましたが、お客さんの要請で下記❶のフランクフルト経由になりました。
*どのパターンでも、出発しヴィトリア空港に到着するまで、フライト時間+乗継時間を合計すると約35~37時間です。
*アメリカ経由を要請されなくて一安心。理由はアメリカ入港時、アメリカ経由で第三国に向かうトランジット時にはESTA(90日以内と観光または短期商用に限り、ビザの取得は免除される。)をオンライン申請すればOKですが、2011年3月1日以降にイラン、シリア、イラク、スーダン、リビア、ソマリア、イエメン、北朝鮮に渡航した者はESTAを利用不可になってるため、私は2018年11月にイランに渡航しているので、ESTAでなく、アメリカ大使館で観光ビザの取得が必要なのです。それも本人がアメリカ大使館に直接行っての申請と面談が必要です。
❶羽田➡フランクフルト➡サンパウロ➡ヴィトリア➡サンパウロ➡フランクフルト➡羽田
❷成田➡ドバイ➡サンパウロ➡ヴィトリア➡サンパウロ➡ドバイ➡成田
❸成田➡チューリヒ➡サンパウロ➡ヴィトリア➡サンパウロ➡チューリヒ➡成田
❹成田➡ロスアンジェルス➡サンパウロ➡ヴィトリア➡サンパウロ➡ロスアンジェルス➡成田
■5月3日(金): 午後から桑名の自宅を出発し、桑名➡名古屋➡東京➡都内のホテルに移動です。
今回の出張では、GW4日間、土・日で2日間、合計6日間の休日出張です。でも仕事だからと・・・・・・
ホテルに到着し、明日からのブラジル出張を無事に過ごして、13日に無事に帰国出来るように、一人祈願、一人乾杯。