『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-1

今回で『丁場紀行』6回目の発信です。
前回は『トルコ丁場紀行 前編』を案内しましたが、楽しく読んで頂けましたでしょうか? 今回は予告していたように『トルコ丁場紀行 後編』をご案内致します。
前編に引続き、トルコ産石種紹介とトルコ料理紹介、観光地紹介、ウンチク紹介など盛りだくさん書いてみました。ごゆっくりとお楽しみください。皆様からの感想が私の励みなので感想を聞かせて頂ければ幸いです。

前編でトルコ大理石は2000年少し前からイタリア業者によってトルコ材開発が始まったと説明しましたが、その当時は丁場主による直接輸出は少なく、大部分がイタリア業者経由で世界に販売されていました。地区的には、MARMARA島、BURSA地区、AFYON地区、IZUMIR地区、ELAZIG地区の大理石が主流でした。
その後、DENIZLI地区、ANTALYA地区、DIYARBAKIR地区、BILECIK地区、MUGLA地区、ISPARTA地区の開発が進み、更にその後、AZDAVAY地区、MALATYA地区、MERSIN地区の開発が進んだ印象です。

2001年から2004年までは、トルコ材の世界的な人気は低かったので、我々が訪問したら親日家のトルコ業者は熱烈歓迎でまずはチャイ(写真参照)でようこそ。検品は好きなように選ばせてくれてました。丁場主も案内者も田舎のおっちゃん、田舎の兄ちゃんって感じで、昼には丁場メシをご馳走になり、夜は地元民が集まる食堂でワイワイ、ガヤガヤしながら味だけは美味しい地元料理をご馳走になり(当時は半々位で支払っていましたが・・・)ホント平和な時代でした。
2005年頃から中国国内需要が高まり、中国業者が当時は比較的安価なトルコ大理石に目を付けて、爆買いが始まりました。中国業者同士の買い付け争奪戦の開始です。訪問丁場の原石には、ことごとく中国業者にマーキングされてあり、人気石種に於いては、中国人検品者が丁場近くに宿泊し、朝に丁場に来て検品するのですが、品質を見るのでなく、原石にサインだけをしに来るという状態でした。
このように採掘すれば売れる(お金になる)状態が続いたら、丁場の機械設備投資(ワイヤーソー増、丁場重機増)が進み採掘量を増やして対応していました。更には新丁場開発合戦になり、2017年に懇意のトルコ業者に丁場数を聞いた時には、『複数の丁場を所有している丁場主も多いので、600~800丁場位では?』と実態が分からないほど丁場が存在し、更に売れ筋の丁場の近くで採掘開始し、多少色柄が代われば『新石種』となり、何がなんやら分からないほどの石種名が存在する事になり、まるで、キノコのように多くの丁場が生まれ、前後して多くの丁場が閉鎖し、開発、閉鎖、開発、閉鎖の繰り返しの時代でした。
いずれにしても、トルコ業者の多くが、中国依存であり、それを物語るには、世界最大のストーンフェアーのアモイフェアーの2017~2019年のデータでは、展示社 大小合わせて約2,000社(50~60か国)出店で、海外業者は約500社、その内の約200社がトルコ業者であった。それだけトルコ業者はアモイストーンフェアーに出展し、中国業者向けに販売していました。最近では、中国国内需要低下でトルコ大理石爆買いは低下し、設備投資し過ぎたトルコ業者は淘汰されていると聞きます。

参考に書いておきますが、当社は中国業者よりも早くトルコ材を買い付けていたので、中国業者間の原石争奪戦真っ最中でもトルコの友人達は第一優先で良材を選ばせてくれていました。たぶん購入量が『良材を数個』だったからでしょう。友人達曰く『三木さん達は古くからの友人であり我々の石を理解している、中国業者は商売だけの付合い。金儲けは中国業者からする。』との嬉しいお言葉でした。

◆堅苦しくなったので……チャイの話で休憩します。
・トルコのチャイは濃いストレートティーです。トルコ人達は沢山の砂糖を入れて飲みます。(角砂糖2個が多い)
朝食後に2杯、車移動休憩時に1杯、丁場到着時に2杯、視察後に2杯、・・・勧められるままに午前中だけで7~10杯。
昼食後に2杯、またまた丁場で2~3杯、丁場訪問の度にチャイの繰り返し。そんでもって夕食後に2杯。多い日で1日に20杯。写真のように小さいコップですが、トルコのチャイを飲み過ぎたらどうなるか?私の経験では便秘になるんです。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-1

◆トルコ丁場紀行前編に引続き、産地を地区別に分けて下記の地図に記載し、『石種』を紹介していきます。

今回は、⑩~⑲の石種(黒太文字石種)を紹介します。
①~⑨の石種(紫文字石種)は、前回(トルコ丁場紀行 全編)で紹介済み。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-1
◆BURSA地区
マロンライト : 
2002年位に最初の丁場がオープンし、最盛期には30丁場以上で採掘され、大部分が中国に輸出されていた。中国では本家スペインのエンペラドールライトの代替で人気爆発でしたが最近は人気も少し落ち着いたように思います。当社ではマロンライトと称していますが、別名ではトルコ エンペラドールライトとかニューエンペラドールライトとも称される。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-1 ◆BILECIK地区
クレマヌオーヴァ : 
丁場は、イスタンブールから約220kmに位置する。トルコ材の中では比較的早くイタリア業者が買い付けたので、イタリア語名となっている。直訳すると『新しいクリーム色』よって建値はユーロなんです。石質は硬く艶乗りが良い。現在は良材確保困難です。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-1 ◆AFYON地区
⑫ムーングレー : 
丁場はアフィオン空港から約130kmに位置する。2015年3月頃から採掘開始の若い丁場。
アモイストーンフェアーで展示されていて『青味のあるライトグレー』なので興味を持ち他石種検品出張時に丁場に訪問した。層、ピットで色柄が異なり、ライトグレーtype、ダークグレーtype、更紗模様type、流れ柄typeがあり、柄が大人しいライトグレーtypeをトライアル発注することにしたが、その後2回訪問しても良材に当たらなかったので、最終的にオーダーをキャンセルし、良材確保困難で取扱を中止しました。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-1 ◆IZUMIR地区
ノーブルベージュ : 
2014年から採掘開始のライトベージュに控えめな網柄が広がります。石質は硬く艶乗りは良い。写真のようになだらかな小山の頂上で採掘しています。採掘量は多く、大型工事にも対応可能なライトベージュ系の石種です。
『丁場紀行』トルコ丁場紀行:後編 No.6-1

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