『丁場紀行』インド丁場紀行:前編 No.3-2
今までに15回インド出張していますが、視察した丁場は数えてみたら65丁場、石種では45石種(複数の業者が採掘している石種があるため)でした。
まあ、沢山の丁場に行ったもんですが、それが私の石屋としての肥やしになっているのだと自身に言い聞かせています。今でこそ、どこの町で宿泊してもシャワーを浴びれて、音がうるさくてもエアコンが利き、それなりの食事が取れて、可能な限り飛行機で移動できるようになってます。現在のインドでも都市はそれなりのホテルに宿泊するので問題ないですが、現在でも田舎町のホテルは偽☆だけは多いですが不潔感が漂っています。30数年前のインドの田舎町には、ホテルと呼べるようなホテルは無く、丁場にあるゲストハウス(おんぼろ宿)か簡易宿みたいな場所しかなく、簡易宿にチェックインするとまず初めにシーツをめくり、這っている虫をキンチョールで退治、蚊取り線香点火、トイレと兼用のシャワー室で水を確認、いつまでたっても茶色の水なので、『この茶色水を浴びるべきか、汗まみれの状態で濁ったミネラルウォーターで顔と体を拭くかの選択』をしていました。もちろん茶色水を浴びる勇気はありませんでした。
初めてのインドでの教訓は下記ですが、現在もどこの国に行く時にも役にたっています。
・必ずビーチサンダルを履いてシャワー室に入る。 : シャワー室の床がヌルヌルで菌がウヨウヨ状態なので。
・飲料には氷は入れない。 : どんな水で作った氷か分からないので。
・一番安全な食べ物はバナナとゆで卵。皮or殻で全体が覆われている。:バイ菌付着の包丁は使用せず手で剥ける。
・出来る限り生野菜は食べない。火が通った野菜を食べる。 : 野菜を洗った水が怖いので。
・現地では髭は剃らない。 : もし髭剃りで肌を傷つけた場合にバイ菌が入る可能性があるから。
・運転中の運転手にガムorキャンディーを定期的に食べさす。 :
長距離、長時間の移動が多く、居眠り運転されたら 間違いなく死亡事故です。それも整備しているのかわからない車体でタイヤもツルツル。事故死覚悟のヒヤヒヤ移動です。現在の交通事故死者 世界1位はインドです。年間10万人以上です。これも戸籍がある人だけです。アチュートまで含めると何十万人が死亡しているやら?の国です。なぜそんなに?ですが、田舎町の道路は2車線分の巾があっても、舗装(それもガタガタで穴だらけ)しているのは、真ん中の1車線のみ。その両側の0.5車線づつは、人間と牛などの動物が歩いたりする土の道です。対向車同士が出来る限り舗装道路を突っ走るので、少しの判断ミスで正面衝突です。事故すれば周辺に病院がない場合が多いので死亡する場合が多いそうです。本当に命がけの車移動なんです。
★初インドのスケジュールを思い出してみました。視察した丁場は5石種ですが、インド内移動に時間が掛かり8日間も要しました。写真が数少ないので残念です。
・1日目 成田~シンガポール~マドラス(現在のチェンナイです) 【マドラス泊】
マドラス空港到着は夜中の12時過ぎ、空港自体も古く、暗く、臭く、出迎えの沢山のインド人でごった返し、暗い中で反射する目の光と白い歯、白い手の裏だけが見える異様な光景でした。
・2日目 GEM社本社で打合せ。夕方にマドラス~ハイデラバードに夜行列車で移動 【電車内泊】
当時のGEM社 ベラマニー社長の答弁に圧倒された打合せでした。夕方には、夜行列車でハイデラバードに移動でした。
一応 4人部屋の寝台車ですが、出発時は同僚と2人、気を使って、4人用に2人と思いきや、その後にインド家族4人が乗り込んできた。定員オーバーなのにインド家族は何食わぬ顔でギャーギャーと騒がしいし、変な匂いがするし・・・・寝れないので鉄格子の窓から星だけは素晴らしい夜空を眺めていたら、途中の駅に到着し、チャイを売りに来たので購入。不潔だが味だけはお美味しかった。でも鉄格子越しに渡されるのは牢屋に入れられている感じでした。
・3日目 ハイデラバード~ワランガルに車で移動 (約160km、3時間) 【ワランガル泊】
簡単なインド朝食を食べて、インド製ヒンドゥスタン モータースのアンバサダーに乗り込み丁場に移動。エアコンがないので窓を開けて、土埃舞い上がる道を爆走。埃防止にサングラスと帽子は必需品、口にはタオルを巻いていました。
暑いわ、狭いわ、跳ねるわ、急停止するわで昔のインドの車移動は苦行そのものでした。
★サファイヤブラウン丁場視察
当時のインドの殆どの丁場は表層に飛び出している玉石(写真①参照)から採掘していました。
玉石毎で微妙に色調が異なるので、原石を色合わせするのが困難でした。また採掘機械も少ない時代だったので大きく割って、それを手割で整形です。よって、整形された原石形状は下の画像のように全面がモッコリ状態です。(写真②参照)
一番驚いたのは、小さい端材を女性や子供が頭に乗せて裸足で運んでいたことです。(写真③参照)
尖がったコッパの上を裸足で平気に歩いているのです。足の裏がどうなっているのやら?