『丁場紀行』丁場形状と採掘方法の変化 No.2-3
1900年代初めには空気圧搾式のドリルが登場し、穴が早く開けられるようになりました。そのドリルで穴を開けて、ワイヤーを通したり、ドリルである程度の間隔で開けた穴に楔を撃ち込んで割れ目を作ったりしていました。
1978年にダイヤモンドワイヤーソーが取り入れられ、初めは上下の切断しかせず、壁から大きな原石の塊を採るためだけのものでした。当初のダイヤモンドワイヤーソーは鉄製のワイヤーに人工ダイヤのビーズを間隔を開けて数珠のように繋げているだけの簡単な物だったので、ワイヤーが切れると、そのビーズがピストルの弾のように飛び散り、その上ワイヤーは鉄の鞭になるので、かなり危険だったと丁場の作業員から聞いたことがあります。
しかし、現在のダイヤモンドワイヤーソーはビーズが抜けることなく、あらゆる方向に切断することが可能となり、現在の大割採掘(壁から例えばH8m×L12m×W2mを切り出す)も小割(切り出された大割材の原石形状に切断or整形)もダイヤモンドワイヤーソーが主流です。もちろん他の大理石丁場もダイヤモンドワイヤーソー採掘が主流です。
最新では、6m程の長さがある大理石用チェーンソーを使用する丁場もあります。
ダイヤモンドワイヤーソー使用での基本的な採掘手順
①丁場の壁にコアドリルで直径10cm程の穴を天場から下方向に、底面から横方向に穴が繋がるように開ける。
②その穴にダイヤモンドワイヤーを通して、ワイヤーソーで切断する。
③基本的な切断順は、縦面 → 底面 → 背面。これで全面が切断(大割)される。
④その大割された壁(大理石では平均 高さ8m×長さ12m×厚み1.5/1.8m)を倒してから、原石サイズに小割する。
*倒す時には、地面に直撃すればキズが入ったり、バラバラに割れたりするため、それを防ぐために地面に小石、砂利、古タイヤ等をクッションにしている。
参考 : 大理石用 チェーンソー
最後に面白い写真を紹介します。
今回はこの辺りで終了です。 ありがとうございました。