『丁場紀行』丁場形状と採掘方法の変化 No.2-1
前回『丁場紀行 NO.1』を発信し、皆様から好評を頂き非常に嬉しく思っております。ありがとうございました。
今回は、予告しているように『丁場の形状』と『採掘方法の変化』についてを私なりにご案内したく思います。
石材で建造された歴史的に古い建築物と言えば、約4,500年前建造のエジプト ギザ砂漠にある三大ピラミッド(近郊から産出されていたライムストーン、当初その外部を覆っていたのはトゥラ産白大理石、内部玄室にはアスワン産の赤御影石)、約2,500年前建造のギリシャ アテネ近郊 アクロポリスにあるパルテノン神殿(近郊のペンテリ山から産出のホワイトペンテリコン)、約1,940年前建造のイタリア ローマにあるコロッセオ(ローマから約27kmの温泉地チボリから産出のトラヴェルチーノ)であるが、どのように採掘していたのであろうか? ドラえもんのどこでもドアで当時に行って、見てみたいと思うのは私だけであろうか?
途方もなく古い事なので想像でしか言えないが、自然の割れ目、山キズ(石屋用語で節理キズ)に金属の楔を打ち込んで裂け目を広げ、そこに乾燥した木製の楔を入れ、それを水で浸し、その木製楔を膨張させて裂け目を広げさせる方法をとっていたか、自然の割れ目がないところでは、狭い間隔で地道に穴を開けて、そこに楔を打ち込んで割れ目が入るようにしていたと思える。
前置きはこれ位にして、本題の『丁場の形状』と『採掘方法の変化』に移ります。
建築に使用する石材は大別して御影石(岩石上の分類とは異なってカリ長石、斜長石、石英、黒雲母などを主とした岩石)と大理石(岩石上の分類とは異なってカルシウムなどを主とした岩石)の二つがある。採掘場の形状には大差がないが採掘方法は共通する方法と独自の方法がある。
『丁場の形状』について
大別して、山の一部から採掘、小山(丘)から採掘、地面から下を採掘、トンネル掘りです。
言葉で説明するより、それぞれの代表的石種の丁場画像を紹介します。
・山の一部から採掘 : 大理石だけです。紹介する石種は、ビアンコカラーラ、グリジオカルニコ、レイアホワイト。
・小山(丘)から採掘 : 大理石、御影石の丁場に見られます。紹介する石種は、クレママルフィル、マロンブラウン、スヴェヴォロイヤル、レッドトラヴァーチン、ソフトイエロー、ハリケーンブラック。・地面から下を採掘 : 大理石、御影石の丁場に見られます。紹介する石種は、ローズオーロラ、トラヴェルチーノ、ブラックギャラクシー。・トンネル掘り : 採掘当初は表層から採掘していたが、採掘が進むにつれてトンネル掘りを行うようになった。紹介する石種は、ポルトーロ、サンゴッタルド、アヤックス。御影石はトンネル掘りはしていない。